「嘔吐下痢」について

 多くは消化管へのウイルス感染が原因となりますが、キャンピロバクター(鶏肉などから感染することが多い)などのように細菌性のものもあります。ウイルス性としてはロタウイルス(冬から春にかけて、嘔吐が強く、白い下痢の見られる消化管感染症)、アデノウイルス、ノロウイルスなどがあります。小腸を中心とする感染の場合、下痢はなく、嘔吐腹痛のみの場合もあります。腹部超音波検査では小腸の動きが悪くなり小腸が拡張したような所見があります。

また超音波検査では腸重積や虫垂炎などの有無もチエックします。

ケトン性嘔吐症(別項目参照)が嘔吐の原因のこともありますので尿検査が必要な場合もあります。まれには髄膜炎(ウイルスや細菌が中枢神経系に入る)が原因の嘔吐もありますのではげしい頭痛や、意識状態の変化のある嘔吐はいそいで診察を受ける必要があります。


嘔吐時の対処:

 

嘔吐嘔気の強い場合、食べさせるとまた嘔吐します。

上部消化管(小腸や胃)の動きが悪くなっているため、食べたものを胃から小腸へうまく送り出せない状態なので、しばらくしてから少量(はじめはスプーン1杯からはじめて1回30ccづつくらい)の液体を頻回にわけて(15分から20分に1回)のませて、嘔吐しない場合は1回の量や頻度を増加させていきます。

飲ます飲料は経口補水液(たとえば大塚製薬OS-1)が好ましいです。母乳栄養の場合、母乳の一回量を少なくして飲ませる頻度を増やします。それでも嘔吐する場合は「OS-1」を試してみます。

飲んでも嘔吐しなくなった場合、はじめはやわらかく消化のよさそうで、脂っこくない食物(おかゆと煮たお魚と味噌汁など)を少量から量をすこしづつ増加させていきます。

嘔吐で汚れた皮膚や衣類、寝具はすぐきれいにしてあげましょう。いやなにおいで、また嘔気をさそってしまいます。

しかしまったく飲めず、尿量も減ってくる場合は点滴が必要な場合があります。

 

下痢のひどいときの食事

(嘔気嘔吐の強い場合は前の項目を参照ください)

 食欲もなく水分もあまりとらず、下痢がひどく水分が失われ脱水ぎみの場合は(体の水分がたりなくなっている場合は)まず経口補水液(大塚製薬OS-1など)を比較的短時間の間に(可能であれば4時間くらいの間に)ある程度の量のませて脱水を補正します(体重あたり50-100ccくらい、10kgの場合500-1000cc)。以後も下痢を繰り返す場合は下痢のたびに100ccづつ追加して飲ませます。その後は母乳栄養児の場合は通常どうり母乳を飲ませます。人工乳栄養児の場合は原則として薄める必要はありません。普通食を食べている年齢の子供の場合はいつも食べている食事のうち油っこくなく、消化のよさそうなものを食べさせます。