「気管支喘息」について

 人間の体には病原体などの異物を攻撃し、体を外的から守ろうとするはたらき(免疫)があります。

しかし、この反応が間違って(過敏に)おこり、好ましくない現象がおこることがあります。

気管支喘息の方の気管枝(奥のほうの細い気管)はダニやハウスダスト(家のなかのほこり)などの吸入抗原を異物とみなし、これらを肺の奥のほうに入れないようにする反応がつよくおこります。

 

気管支喘息の患者様の気管枝周囲には好酸球や組織球といった免疫に関係する細胞が多く集まっていて、吸入抗原が入ってくると、気管支周囲の筋肉を収縮させたり、粘液分泌を促進する物質を放出し、気管支を収縮させ、また粘液分泌が亢進します。 その結果、呼吸困難(喘息発作)がおこります。

喘息患者様はこの状態が慢性的(長い間)に持続するため、気管支の壁がかたくなり、気管支が狭くなるため(これをリモデリングといいます)、かるい発作でも強い症状がでるようになります。

 

起こっている発作を抑える治療として気管支を広げる薬(メプチン、アイロミールのような気管支拡張剤の吸入、内服がありますが、根本的に気管支周囲でおこっているアレルギー性の慢性炎症をおさえないとリモデリングが進んでしまいます。このための薬剤として抗アレルギー剤(オノン)やロコトリエン拮抗剤(シングレアなど、6歳以上)、吸入ステロイドがあります。これらの薬剤で発作がゼロの状態をつくる必要性があります(病状により使用する薬剤や量は異なります)。なお吸入ステロイドは定期的な診察を受けて、適正に使用すれば全身的な副作用はほとんどありません。風邪などをきっかけに発作が年数回しかおこらず、間の時期にはまったく(軽い症状もふくめて)無症状の方はその場かぎりの発作をおさえる治療でかまいません。

なお、乳児期にウイルス感染によってひきおこされる喘鳴の多くは細気管支炎のような一時的な現象であることが多いです。(くり返す場合は気管支喘息を考慮する必要があります)